訪問看護ステーションでの情報共有法 連絡ツールとしてGoogleハングアウトを活用する

総務部

 訪問看護ステーションでは、当たり前ですがスタッフさんは事務所にいないことが多いです。事務所に沢山電話がかかってきますがその場でスタッフさんが対応できることは少なく、伝言になることが多いと思います。そんな時に役に立つのがGoogleハングアウトです。この電話対応からの伝言は事務員さんにとって想像以上に負担になる業務だと思います。もし、事務員さんが伝言方法に困っている場合、特におすすめです。また、写真機能を使ってFAXなど書類も送ることができて便利です。
 情報共有にかかる時間短縮と伝言ミスを可能な限り防ぐために実際に運用しています。その方法を簡単に紹介します。最も使用する頻度の高い便利なアプリです。

Googleハングアウトとは

 おなじみのLINEと同じような機能を持ったアプリです。訪問看護ステーションでは以下の機能を使います。

  1. メッセージを送ることができます
  2. 写真や動画を送ることができます
  3. 音声通話ができます
  4. ビデオ通話ができます
  5. グループを簡単に作ることができます

    左がスマホ、右がパソコンの画面になっています。

Googleハングアウトの便利なところ

業務専用の連絡手段を作れる

 プライベートのLINEを使っている事業所さんもありますが、休みの日もプライベートのLINEに連絡が入るのは精神的にストレスというスタッフさんもいます。また、個人情報保護などセキュリティ面でもちょっと心配です。
 業務専用の連絡手段を設けておけば、お休みの日はアプリの通知を気兼ねなくOFFすることができます

簡単にグループが作れる

 管理者さんや事務員さんは、一つの情報を複数のスタッフさんに伝える機会が多いと思います。グループを作ることで1回の操作で複数のスタッフさんに連絡をすることができます
 また、事業所内で共有する情報は沢山あります。利用者さんの状態などはもちろん、勤怠管理に関すること、請求業務に関すること、報告書などの書類に関することなどなど。そのため、一つのグループでは情報量が多すぎて情報を確認しにくくなってしまいます。複数のグループを作ることで情報を確認しやすくなります。Googleハングアウトでは簡単にグループを作れるので便利です。

スマホ、タブレット、パソコンのどれでも使える

 スマホ、タブレット、パソコンのどれでも情報の発信、受け取りができるのでどこでも使えます。
 スマホ入力の苦手は方(私もです)にとってパソコンで入力できるのは、大変ありがたいことです。ちなみにパソコン入力時の改行は【shift+Enter】です。Enterだけだと送信になってしまいます。

写真・動画も送れる

 FAXなど書類も写真に撮って共有することができます。介護・医療業界はまだまだFAXが主流なのでこの機能は便利です。利用者さんの状態も写真で共有することができます

これはこれからですが、ビデオ会議について

 Googleハングアウトでは、10名以下のビデオ会議が可能なようです。まだ、実際に使用していませんがコロナ時代の今、活用したいと考えています。

Googleハングアウトを使用するための準備

1.Googleアカウントの作成(Googleアカウントをもっていない場合のみ)
 以下のHPにて分かりやすく解説されています。 
 ぼくらのハウツーノートさんのHP
  Googleアカウントを新規に作成する(Gmailを同時に作成する)

   https://www.howtonote.jp/google-account/new/index1.html
2.スマホ、タブレットにアプリをダウンロード
 androidスマホには初めからダウンロードされています。iPhoneの場合は、App Storeからダウンロードします。無料です。
3.作成したGoogleアカウントでログイン

Googleハングアウトの操作方法

 使い方については、以下のHPが分かりやすいです。機能についても分かりやすくまとまっています。
アプリオさんのHP 
 今日から始める、「ハングアウト」の使い方 超入門【Android/iPhone/PC】

  https://appllio.com/what-is-google-hangout

実際の活用例とおすすめポイント

事業所での約束事
  1. 休みの日は通知OFFにしてOKです。
    その代わり休みの日もメッセージは送らせていただきます。
  2. 出勤したらまずハングアウトやメールを確認してください。
  3. 訪問と訪問の間にはハングアウトを確認してください。
  4. プライベートでは業務用のアカウントを使用しないでください。

ケアマネさんから担当看護師さんに電話で伝言をお願いされたとき

ケアマネさん
ケアマネさん

いつもお世話になっております。看護師の○○さんいらっしゃいますか?

事務員さん
事務員さん

今訪問中で不在ですが、お急ぎでしょうか?

ケアマネさん
ケアマネさん

いえ、急がないので伝言をお願いします。
Aさんなんですけど本日訪問しました。以前から考えていた変形性膝関節症の手術をすることに決めたみたいです。一応、2か月後位に手術する予定だそうです。決めたけど手術に対しての不安もあるみたいなので訪問時にそのあたりを聞いていただければありがたいです。また連絡します。

事務員さん
事務員さん

はい、担当者に伝えておきます。ご連絡ありがとうございました。

 こんな時にGoogleハングアウトの出番です。さっそく、担当者さんにメッセージを入力して送ります。利用者さんからのキャンセルの連絡なども同様に対応しています。
おすすめポイント
① すぐにメッセージを入力して送れるので伝え忘れが防げる
  訪問看護ステーションへの電話って集中しませんか?沢山電話がかかってくるとうっかり伝え忘れたりしがちです。すぐに送れば伝え忘れは防げますし、しっかり記録にも残りますので言った言わないにならないもいいです。
 ちなみに当事業所では伝え忘れが心配なので、スタッフさんがお休みの日もメッセージを送らせたいただいてます。休みの日は通知をOFFにしてもらい、次の出勤の際に確認してもらっています。その方が事務員さんは楽だと思います。
② 電子カルテの場合、内容をコピーできる
 上記のような内容は、経過記録に記録する必要があります。電子カルテの場合はGoogleハングアウトの内容をコピーして経過記録に貼り付けることができます。

医師から処置についてFAXで指示があったとき(皆で情報共有したいとき)

お医者さん
お医者さん

○○医院の○○です。
Bさんの担当看護師さんいる?
(Bさん:褥瘡が重度で週5日看護師さんが訪問しており、複数の看護師さんが訪問しているケースとします)

事務員さん
事務員さん

只今、訪問中で不在ですがお急ぎでしょうか?

お医者さん
お医者さん

Bさんなんだけど、褥瘡の処置を変更するんで指示書をFAXで送るから確認するように伝えて。

事務員さん
事務員さん

承知いたしました、伝えます。

 こんな時もGoogleハングアウトの出番です。FAXで来た指示書の名前や生年月日、住所を隠して写真をとり、看護師さんのグループに送信します。これで、看護師さん全員が褥瘡処置変更の指示書を確認することができます。
 写真はタップで拡大できますので細かいところも確認できます。
おすすめポイント
① グループが作れるので、複数のスタッフさんに一度で情報を送れる
 Googleハングアウトでは簡単にグループを作れます。当事業では以下の感じでグループを作っています。

グループ名メンバー情報の種類
全員グループ事業所全員利用者さんについてなど色々全員で共有すべき情報
看護課グループ看護師さん利用者さんについてなど看護課で共有すべき情報
リハ課グループリハ職さん利用者さんについてなどリハ課で共有すべき情報
常勤者グループ常勤さん会議についてなど常勤さんで共有すべき情報
ケアプラン事業所全員新しいケアプランが来た
指示書事業所全員新しい指示書が来た
事務連絡事業所全員事業所内の勤怠管理などの事務連絡

② 医療・介護業界はまだまだFAXが主流なので使用頻度が高い

リハ職が訪問すると利用者さんが転んだ直後、傷の状態を管理者さんに見てもらいたいとき

リハさん
リハさん

こんにちは!
リハビリでうかがいました。

利用者さん
利用者さん

あっ、来てくれてよかった。
さっき庭に出ようとして転んで頭をぶつけて少し血がでちゃったの。

リハさん
リハさん

そうなんですね、気分は悪くないですか?
痛みはどうですか?

利用者さん
利用者さん

少し痛いけど、気分は悪くありません。

リハさん
リハさん

【心の声】
出血ほとんど無いけど傷を見ると深いようにも見える、頭だから心配だし。管理者さんに相談しよう。

ハングアウトで傷の写真を送ってから電話しよう。

 こんな時もGoogleハングアウトの出番です。利用者さんに承諾を得られたら傷の写真を撮り、管理者さんに送ることができます。言葉では伝えきれない状況報告ができます。このケースは、まず写真を送信してから電話で相談する形です。
おすすめポイント
① 管理者さんにスマホやタブレットにすぐに通知される
 電子カルテにも写真を保存する機能がありますが、Googleハングアウトの方が通知がされますしログインも簡単なので早いです。管理者さんもパソコンやタブレットなどで写真を見ながら電話で話を聞くことが出来ます。
② 必要であればビデオ通話もできる
 今までそのようなケースはありませんでしたが、ビデオ通話を利用することでさらに正確な状況報告が可能になります。ビデオ通話が一般化する今後は使用する機会が増えていくのではと思っています。

実際に使用しての感想とデメリットについて

感想です
感想です

 ハングアウトは毎日使います。
 事業所の規模が大きくなると情報量も増えるため頻繁にメッセージのやり取りがされます。情報量が多くなっていくと、グループ分けの工夫やメッセージの送り方のルールをスタッフさんで共有する必要が出てくると思います。ちなみに私が所属しているステーションはスタッフさん12名で上記のやり方で今のところ支障ありません。
 今後は、withコロナの時代を反映してビデオ通話の必要性が高まると思います。積極的に使っていきたいと個人的には考えています。
【デメリットについて】
① 以前に送った(送られた)メッセージが確認しにくい。
② 長文だと読みにくい。
 この2点についてはGメールを併用すれば解決します。私が所属する事業所では電子カルテとハングアウトで7割以上の情報共有をしている感じです。

連絡法だけではない業務全般の情報共有法については便利な事業内情報共有方法の紹介 ~タブレットを活用して~を見てみてください。

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